創業265年!Maille(マイユ)の世界

~ディジョンで生まれたビネガーとマスタード~


マイユといえば、ビネガーやマスタードでなじみの深い、フランスの調味料ブランド。ブルゴーニュ地方のディジョンに拠点をもち、創業して265年経つ今でも、ビネガーやマスタードのスペシャリストとしてのゆるぎない地位を確立。今や、日本を含め世界約70ヶ国に向けての輸出を展開しています。さて、今日はマイユのパリ店を訪れてみることにしましょう。


マイユの250周年にあたる1996年にオープンしたパリ店は、マドレーヌ寺院を目の前に臨む広場にあります。デパートやスーパーでは買えないものも多く取り扱っているとあって、食にこだわりを持つパリジャン以外に、観光客にも人気のお土産スポットとしてにぎわっています。当初は10種のマスタードからスタートしたブティックも、今では40種以上がそろう充実のラインナップ!


それではここで、マイユの歴史を少しご紹介しましょう。

マイユの名が知られることとなるのは、1720年のマルセイユで起こったペスト大流行のとき。ビネガー業者だったマイユ氏が抵毒性の高いビネガーを開発、ペスト予防に大きな貢献をしたのがきっかけです。今でこそガストロノミーを語るには欠かせないビネガーですが、当時は鍋を光らせるために使われたり、薬や化粧品として使われるのが主な使用方法だったそう。マイユは、1760年にはオーストリアとハンガリーの皇室御用達のビネガー業者に、そして1769年にはフランスの皇室、ルイ15世の御用達に、1771年にはロシア皇室の御用達にもなります。ロシアでペストが流行した際には、ペスト予防のために無料でビネガーを提供したという逸話も。

いつの時代も最高品質のものを生み出すため、「優秀・厳密・洗練」を3つの基本理念のもとに伝統を今に引き継いできたマイユ。「Il n’y a que Maille qui m’aille」(私に合うのはマイユしかない)という、フランス語で言葉遊びを交えたキャッチフレーズまで誕生しています。


マイユに勤めて20年になるというマリー・エレーヌさん(左)と、輸出担当のブノワさん(右)にお話をお伺いしました。

「約70ヶ国に輸出していて、日本は4番目に大きなお客さま」とブノワさん。カナダやドイツなどに次いで、輸出量が多いそう。パリとディジョンのブ ティックの責任者として2都市を行ったり来たりの忙しい日々を送りつつ、マイユのデザイナーとしてマスタードのレシピも開発するマリー・エレーヌさんは、 年に2回(春夏、秋冬)、シーズンに合わせて限定マスタードも発売しているとの耳より情報を教えてくれました。春夏は、ハーブやにんにくなどを使用した、 バーベキューやサラダに合うマスタード、そして秋冬は、きのこ類を使ったものなど、ジビエ料理に合うマスタード。年中通して、食卓で活躍してくれそう!マ イユ商品を熟知したスタッフから、どの風味のマスタードやビネガーがどんな料理と合うかなどのアドバイスももらえるだけでなく、レシピを紹介したフライ ヤーも用意しているとのことで、心強いこと限りなしです。


マスタードのポットの大きさは3つあり、消費量に合わせて選べるのがうれしいところ。また、ウィスキーグラスの形の容器に入ったものもあり、そちらはベストセラー。中身を使い切ったあとは、ウィスキーグラスとして利用できるとあって人気を集めています。

そして、「マイユというと、マスタードやビネガーが有名ですが、酢漬けのコルニッションやオリーブオイルもこだわりの品なので、ぜひ試してみてくだ さい」とのこと。創業当時から作っているコルニッションは、そのまま食べるだけでなく、細かく刻んでタルタルソースに入れてもおいしいのだそう。試してみたいアイデアです。



お土産として人気があるのは、5種の小瓶に入ったもの(7.9ユーロ)や、見た目にもすてきなコフレ入りのもの(3種16.8ユーロ~)。ピンク色のカシスマスタード(大5.1ユーロ、小3.9ユーロ)も人気で、鶏肉や鴨肉料理にぜひ合わせて欲しい、とマリー・エレーヌさん。


店内にはポンプ式のマスタードもあり、これはブティック以外ではお目にかかれません。空になった容器を持参すれば、マスタードを補充してくれるシステムで、ここのところ大きく叫ばれているエコにも通じます。常時4種のポンプ式マスタードを用意しているとのこと。ふだんデパートで買えるものと比べて、白ワインベースで酸味が少なめ、よりフルーティーなマスタードが揃っているので、ぜひここだけの味を試してみて!



そして、ブティックだからこその商品がもうひとつ。かつては陶器ポットに入れて保存していたというマスタード。ここなら、昔懐かしのかわいらしいマスタード用陶器ポット(スプーン付き)が手に入ります。これ一つ食卓にあるだけで、ぐっとお洒落に演出できます。


取材中も、店内にはひっきりなしの客足。そして、地元フランス人たちが空容器を持参しては、ポンプ式マスタードを補充してもらう姿が見られ、マイユの調味料が有名レストランのシェフたちだけでなく、一般家庭でも愛されていることがよく分かります。全世界の半分、フランスの約80%のペースト状マスタードが製造されているディジョンで生み出される味は、一流のもの。そして、信頼の味でもあるのです。

さて、マイユと日本のお付き合いは、かれこれ30年。最近では、西洋料理だけでなく日本料理に合うマスタードレシピも開発しているとのことで、これからますます私たちにとって身近なものになっていきそうです。

パリやディジョンを訪れた際には、ぜひマイユのブティックへ足を運んでみてはいかがでしょうか。ここだけのとっておきのマイユに出合えます。


★Boutique Maille

6 Place de la Madeleine

75008 Paris

Tel : 01 40 15 06 00

営業時間 : 10 :00~ 19 :00

定休日 : 日曜

最寄メトロ : 8、12、14番線Madeleine


取材・文 : 内田ちはる

写真 : 新村真理