とどまることを知らないスペインの大不況。それでもやっぱり外食はやめないスペイン人達


25.1%の驚異的な失業率で、何時になく全世界の注目を集めているスペイン。外国人達がやきもきしている中、スペイン人達は相変わらずのゴーイング・マイ・ウェイ。ライフ・スタイルは変えません。


スペイン史上最悪の失業率、大不況。

スペインの失業率がどえらい事になっています。その数値、なんと25・1%。全国民の4人に1人が失業中って、何だか凄くないですか? 特に若者層、25歳未満の失業率が最悪で、驚きの52・7%。スペインの将来を担うべき若者の2人に1人が無職です。大学を出ても、大学院を出ても仕事が全くありません。

ドイツのテレビ局の調査によれば、スペインの失業率はヨーロッパ内に留まらず、世界178カ国の中でも断トツに悪い数値なのだそうです。歴史的にも戦時中を含めて過去最大の失業率。

随分と前から日本の人達も不況だ不況だと言い続けていますが、同じ集計方法で出した日本の失業率は4・4%。スペインに比べたら無いに等しいぐらい。そしてあんなに騒がれていたギリシアですら21・9%でスペインより失業者が少ないのです。とは言ってもヨーロッパ連合27カ国の平均失業率が10・3%なので、スペインとギリシアでどれだけ皆の足を引っ張ってるんだかって感じですが。

そんな前代未聞の大不況はスペインの人達にどんな影響を及ぼしているのでしょうか。

他のヨーロッパ諸国の人達が一番驚くのがスペインの若者達がなかなか親元を離れない事。もともと家族愛が強い国民性もあるのですが、若い人達はとにかく職がないので独立する資金がなく、親の懐も寂しいので援助もあてに出来ません。だから結婚するまで親と一緒に暮らす人が多く、そして経済的に独立出来るまで結婚しない人が多いので晩婚化が進みました。やっと独立して結婚したとしても、未来が見えないこの大不況下では子供が欲しくてもナカナカ思い切れず、スペインの出生率は日本よりも少なく、高齢出産の比率は何処の国よりも高くなりました。


どんな状況下でもスペイン人は変わらない

仕事があったとしても、お給料だけでは月末まで暮らせない家庭も多く、お給料の前払い、銀行でのキャッシングを最大限利用した、その場しのぎの生活を強いられています。最近日本でもそんなスペインの大不況ぶりが報道されたそうで、家族や友達たちが心配してメールや電話を沢山くれました。皆さん、スペインどれだけやばいんだと懸念されているようなのですが、実はスペインの雰囲気、大不況にも関わらずそんなに悪くはないんです。相変わらずスペインの人達、明るく元気ですから。特に失業者の人達に全く悲壮感が無くて、長期のバカンスぐらいに考えて、毎日の、仕事をしない生活を思いっきりエンジョイしている感じです。もう、余りにも皆ノホホンとし過ぎているので、日本人の私はスペインの未来が本当に心配です。

ノホホンは変わらないけれど、無職や薄給、なのに物価高でお金に不自由するようになったスペイン人。我慢出来る事は我慢する、が出来るようになったスペイン人。だから洋服や物は買わなくなったけれど、外で飲み食いするのだけは絶対止めません。どんなに景気が悪くても、友達たちとバーやカフェテリアに行くのは必要経費です。だから人気のあるレストランなら、この状況下でも平日だって満員御礼です。

勿論この大不況で閑古鳥が鳴いているレストラン、経営が苦しくて閉めてしまうバーも沢山あります。その一方で常に人で溢れているバーやレストランも多いのです。不景気不景気って言うけど、これだけの人が外食してるんだから嘘みたいだよね、なんて言いながら飲んでいる面子の過半数が無職だったりもするのですが。

そんな大不況下のスペインで、元気の良い飲食店にはどんな特徴があるのでしょうか。一番はもうとにかく安いって事。ビール一杯1ユーロ、おつまみ一品1ユーロ、なんて超激安のお店が物価のバカ高いバルセロナにすら出現するようになりました。


大不況でも元気なお店

そんな激安店の中でも特に有名なのがスペイン全土で展開しているチェーン店、100のサンドイッチ。若者を中心に絶大な人気を誇ってます。レストランの名前の通り、常に100種類のサンドイッチが食べられて、その殆どが1ユーロ。ヤギのチーズにキャラメル色になるまでソテーした玉ねぎをはさんだサンドイッチ。豚の背肉、チーズ、煮リンゴをはさんだサンドイッチ、ジャガイモたっぷりスペイン風オムレツでクリームチーズをはさんだサンドイッチ。メニューの中にはグルメ・サンドイッチと呼ばれる1ランク上のサンドイッチもあります。パンが黒パンやゴマパンに変わり、はさまれる具も若干グレードアップ。鶏肉とシーザーサラダ、パルメザンチーズ入りサンドイッチ、レバー、脂身、ベーコンが入ったサンドイッチ。ハムとチーズとグラタンソースをくるくる巻いてフライしたモノがはさんであるサンドイッチ。
そして何よりもこのお店の売りはビールの値段です。もう信じられないくらい安い。平日限定でジョッキ一杯が1ユーロです。これは他のどの店もマネ出来ない激安価格。しかもこの店、立地も凄く良いんです。バルセロナの中心、カタルーニャ広場から徒歩3分、更には驚きのコストパフォーマンス。もう若者達はハートをがっつり捕まれてしまったようで最近ではスペイン人のみならず、外国人観光客からも絶大な人気を誇り、常に人で溢れています。


殆どパン、殆ど炭水化物

お値段が上がると炭水化物の比率が下がります


ただこのお店は出来るだけ安い単価で皆のお腹を一杯にさせようという魂胆がミエミエなので炭水化物の比率が非常に高いです。と言うか殆どパンです。でもこのパンが何気に美味しいので1個か2個は試してみるべきです。今時の若者達の楽しそうな様子も観察出来ますし。でも雰囲気を十分堪能したら、ここのパンでお腹一杯にはせずに次のバーへ行く事をお勧めします。


せっかく旅行で来たからにはアップ・グレード


同じような系統で、同じように立地抜群のチャペラTXAPELAなんてどうでしょうか。バルセロナの目抜き通り、グラシア通りにあります。ガイドブックに必ずのっているのは同じ通りにあるタパタパTAPATAPAの方ですが味はこっちの方が断然良いです。お客さんもタパタパは100%観光客ですがチャペラの方は地元の人も結構食べに来ています。一軒目の100のサンドイッチと比べたら、お値段が軽く2、3倍ぐらいしますが、炭水化物の量が断然違います。見るからにパンよりのっかっていてる具の方が多いので安心感があります。


お肉のタルタル。デザインもアップ・グレード

安物ですがロシア産のキャビアがのっています。


イタリア産モッツァレラチーズ、オリーブオイルも良質のモノを使っています。イタリア産モッツァレラチーズ、オリーブオイルも良質のモノを使っています。

ローマ風イカフライとアボガドクリーム添え、アビラ牛ソテー。 お値段はそれなりにしますが、見合った内容で納得価格です。


ピリ辛ソースがかかったジャガイモのフライ、パンじゃなくて パイ生地を使ったオープンサンドもあります。

スペイン人に限らず外国人観光客も揚げ物が大好き。


とてもカジュアルな雰囲気ですが立ち食いではなく、座ってゆっくり食べられるのも魅力です。少しお高いとは言え、しょせんタパスバーなのでカジュアル価格です。そんなにお腹が空いていなくて、軽く食べたい、なんて時にも大変便利です。


取材:市川路美